ぜにがたへいじとりものひかえ 252 かたきもち
銭形平次捕物控 252 敵持ち

冒頭文

一 「八、近頃お前は、大層な男になつたんだつてね」 錢形平次は、珍らしく此方から水を向けました。ガラツ八の八五郎が縁側へ腹ん這ひになつて、手長猿のやうに遠方の煙草盆を引寄せ、默つてお先煙草を二三服立て續けに吸つたところへ冠(かぶ)せた話のきつかけです。 「それほどでもありませんがね。——尤も人を助けるといふのは、まことに、良い心持のもので」「大きいな、さうしてゐるところは大した貫祿(くわんろく)

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「オール讀物」文藝春秋新社、1951(昭和26)年5月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第一卷 恋をせぬ女
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年3月25日