ぜにがたへいじとりものひかえ 267 もぐさえんのむすめ
銭形平次捕物控 267 百草園の娘

冒頭文

一 「親分、あつしの身體が匂やしませんか」 ガラツ八の八五郎が、入つて來ると、いきなり妙なことを言ふのです。 九月のよく晴れた日の夕方、植木の世話も一段落で、錢形平次(ぜにがたへいじ)は暫(しば)らくの閑日月(かんじつげつ)を、粉煙草をせゝりながら、享樂(きやうらく)して居る時でした。 「さてね、お前には腋臭(わきが)が無かつた筈だし、感心に汗臭くもないやうだ、臭いと言へばお互ひに貧乏臭いが

文字遣い

旧字旧仮名

初出

「キング」1951(昭和26)年10月号

底本

  • 錢形平次捕物全集第一卷 恋をせぬ女
  • 同光社磯部書房
  • 1953(昭和28)年3月25日