きえたミジアム
消えた霊媒女

冒頭文

1 「あなたは美人で有名だった小宮山麗子という霊媒女がある大家へ招(よ)ばれて行って、その帰りに煙のように消えてしまった不思議な事件を覚えていらっしゃいましょう?」 「はあ覚えております。もうあれから十年近くもなりはしません? あの当時は大した評判でございましたわね。でも、あれは到頭判らずじまいになったんではございませんか?」 「ええ、あれっきりなんです。でも美人だったし、心霊研究者達か

文字遣い

新字新仮名

初出

「オール讀物 四巻一一号」文芸春秋、1934(昭和9)年11月号

底本

  • 大倉燁子探偵小説選
  • 論創社
  • 2011(平成23)年4月30日