あきのくれ
秋の暮

冒頭文

私は今日、町はづれのお不動様の近くに、用事があつて出掛けたが、用事の済んだのは夕暮れで、道傍の草むらには、秋も終りに近い虫の声が散らばつていた。そんな時間にも、まだお不動様へお詣りの群が切れ〴〵につゞいて来るのであつた。 四、五十歳位の女の人が多く、皆、肩から斜に白い襷を掛け、それには津山不動講と書いてあつた。 そして私も岡山県津山市で生れたのだ。 私もこの人達と同じ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆72 夜
  • 作品社
  • 1988(昭和63)年10月25日