ふえとたいこ
笛と太鼓

冒頭文

子供ができてから半年ほど経つと、国の母から小包がとどき、ひらいてみると、小さい太鼓と笛とが入つてあつた。太鼓には六十銭といふ赤縁の正札が貼られたままあつた。巴の紋のついた皮張りで、叩いてみると、まだ新しいだけよく鳴るのである。無器用な作りを見せた笛にも、やはり田舎らしい、暗(くろ)ずんだよい音いろがあつた。 片町といふ目ぬきの田舎の市街に、中島といふおもちややがあつた。風船、ゴム玉、汽車

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆25 音
  • 作品社
  • 1984(昭和59)年11月25日