きんのわ
金の輪

冒頭文

一 太郎は長いあいだ、病気(びょうき)でふしていましたが、ようやく床(とこ)からはなれて出られるようになりました。けれどまだ三月の末で、朝と晩には寒いことがありました。 だから、日のあたっているときには、外へ出てもさしつかえなかったけれど、晩がたになると早く家へはいるように、おかあさんからいいきかされていました。 まだ、さくらの花も、ももの花も咲くには早うございました

文字遣い

新字新仮名

初出

「読売新聞」1919(大正8)年1月21日~23日

底本

  • 小川未明童話集
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1951(昭和26)年11月10日