つきよとめがね
月夜とめがね

冒頭文

町も、野も、いたるところ、緑(みどり)の葉につつまれているころでありました。 おだやかな、月のいい晩(ばん)のことであります。しずかな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、おばあさんは、ただひとり、窓(まど)の下にすわって、針(はり)しごとをしていました。 ランプの火が、あたりを平和に照らしていました。おばあさんは、もういい年でありましたから、目がかすんで、針のめどによく糸

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」赤い鳥社、1922(大正11)年7月

底本

  • 小川未明童話集
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1951(昭和26)年11月10日