めいご
姪子

冒頭文

麦搗(むぎつき)も荒(あら)ましになったし、一番草も今日でお終(しま)いだから、おとッつぁん、熱いのに御苦労だけっと、鎌を二三丁買ってきてくるっだいな、此(この)熱い盛りに山の夏刈(なつがり)もやりたいし、畔草(あぜくさ)も刈っねばなんねい……山刈りを一丁に草刈りを二丁許(ばか)り、何処(どこ)の鍛冶屋(かじや)でもえいからって。 おやじがこういうもんだから、一と朝起きぬきに松尾へ往(い

文字遣い

新字新仮名

初出

「アララギ」1909(明治42)年9月

底本

  • 野菊の墓
  • 新潮文庫・新潮社
  • 1955(昭和30)年10月25日、1985(昭和60)年6月10日85刷改版