哲學的學科のうちで心理學は一風變っていて、近頃では殆んど自然科學の一分科だと考えられるようになっている。今から八十年程前にクロード・ベルナァル(Claude Bernard)はその『實驗醫學序説』(三浦岱榮譯、昭和二十三年、創元社)で醫學界に哲學的偏見が支配し、實驗的精神が足りないことを強調したのであるが、かれがそこで述べていることはそのまま現今の心理學界に當てはまるように思われる。心理學を研究し