わたしはかみである
私は紙である

冒頭文

高い〳〵一万尺あまりもあらうといふ山の上に私は生れたのでした、或日一人の金持らしい人が登ってまゐりまして私や私の仲間を見て「惜しいものだ、りっぱな紙に成るのに」といはれました。私は別に気にも止めないで居ましたら四五日して大勢の人が私等のそばへやってまいりました。それから私等はりっぱな食物をいたゞく様に成りました。いく月もたった後一人の人がやってまゐりまして「もうそろ〳〵始めてもいゝな」といひ沢山の

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 槇村浩全集
  • 平凡堂書店
  • 1984(昭和59)年1月20日