こうたろうとあくたろう
孝太郎と悪太郎

冒頭文

或所に孝太郎といふ人がありました。家は大へん貧乏でありました。所が其の隣に悪太郎と云ふ人がありましたが家は大金持でした。孝太郎は大へん孝行者で家が貧乏なため中風にかゝってゐるお父さん、二三年前から少し風けだといって居たのが重病となり、もう手のつけやうもない位のお母さんを助けて、朝は早くから起き御飯をたきお茶をわかし山へ芝をとりに行ってはそれを売り、お母さんのお薬代に代へて居ました。一方悪太郎は大へ

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 槇村浩全集
  • 平凡堂書店
  • 1984(昭和59)年1月20日