ごみだらけのまめ
ごみだらけの豆

冒頭文

地震(じしん)のありました、すぐ後(あと)のことであります。町(まち)には、米(こめ)や、豆(まめ)や、麦(むぎ)などがなくなりました。それで、人々(ひとびと)は、争(あらそ)って、すこしでも残(のこ)っているのを買(か)おうとしました。 ある乾物屋(かんぶつや)では、こんなときにこそ、小舎(こや)をそうじして、平常(ふだん)落(お)ちている豆(まめ)や、小豆(あずき)などを拾(ひろ)い集(あ

文字遣い

新字新仮名

初出

「童話」1924(大正13)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 4
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年2月10日