だんちょうていにちじょう 03 だんちょうていにっきまきのにたいしょうしちつちのえうまのとし
断腸亭日乗 03 断膓亭日記巻之二大正七戊午年

冒頭文

荷風歳四十 正月元日。 例によつて為す事もなし。午の頃家の内暖くなるを待ちそこら取片づけ塵を掃ふ。 正月二日。 暁方雨ふりしと覚しく、起出でゝ戸を開くに、庭の樹木には氷柱の下りしさま、水晶の珠をつらねたるが如し。午に至つて空晴る。蝋梅の花を裁り、雑司谷に徃き、先考の墓前に供ふ。音羽の街路泥濘最甚し。夜九穂子来訪。断膓亭屠蘇の用意なければ倶に牛門の旗亭に徃きて春酒を酌む。されど先考の忌日

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 荷風全集 第二十一巻
  • 岩波書店
  • 1993(平成5)年6月25日