あかいねこ
赤いねこ

冒頭文

雨が しとしとと ふりました。その あくる日の おひるころ、一人の おぢいさんが、町の つじに 立ててある 大きな かんばんを 見ながら、ひとりごとを いって ゐました。 「この ゑは、何の ゑだらう、火事の ゑかしら。」 おぢいさんは、しきりに かんがへこんで ゐました。そこへ 一人の 男の 子が とほりかかって、 「おぢいさん、何を かんがへて ゐるんですか。」 と、たづねました。おぢ

文字遣い

新字旧仮名

初出

「金の船」キンノツノ社、1922(大正11)年2月

底本

  • 日本児童文学大系 第一一巻
  • ほるぷ出版
  • 1978(昭和53)年11月30日