じゅそ
呪咀

冒頭文

私の行手に横たわっていた白い墓が 今度は起き上ってじっと私の顔を見ている 私にはそこにゆくより路がない。 どうせ卑俗な 夢がたみだ 私の霊魂の全部に ぐにゃぐにゃした笑顔がくっつき 私の両側はどうせ苦悶の姿ばかりだ だが此のデリカなかかり合いにはどうせ奴らのぴくついた神経では 何としても 防げない精神力の強さがある どうしようもない苦しみ いつなくなろうとも果しれぬ憂鬱 どこ

文字遣い

新字新仮名

初出

「詩精神」1935(昭和10)年4月号

底本

  • 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
  • 新日本出版社
  • 1987(昭和62)年6月30日