ごかいのまど 06 がっさくのろく(しゅうきょく)
五階の窓 06 合作の六(終局)

冒頭文

22 「それっ!」 という月並みな叫び声を口々に発して立ち上がりざま一同が逃げ支度にかかると、このとき遅く、いままで艶子たちの腰かけていた長椅子(ながいす)の下から大黒鼠(だいこくねずみ)が毒ガスを嗅(か)がされたときのように、両手を床の上に泳がせて一人の白い手術衣を着た医員がむくむくと這(は)い出(だ)したので、一同は驚きのあまりその場に立ちすくんでしまった。 見ると、それは医員に扮装(ふん

文字遣い

新字新仮名

初出

「新青年」博文館、1926(大正15)年10月

底本

  • 五階の窓
  • 春陽文庫、春陽堂書店
  • 1993(平成5)年10月25日