しんたいけんさび
身体検査日

冒頭文

その日 学校では不安なざわめきが感ぜられ 私はいくつかのあわれなささやきに耳をいためた つと立ち寄り じっとその子の瞳をみていると うちしずみものかなしいうったえるような色を浮べて じっとみかえす お前もか! お前もか! 私は うったえる瞳の奥にひろがる貧しい生活を思い浮べ 黙って生きてゆかねばならない 曇った運命をかなしんだ 先生! 蓄膿病ってなおるでしょうか? 淋

文字遣い

新字新仮名

初出

「詩人」1936(昭和11)年10月号

底本

  • 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
  • 新日本出版社
  • 1987(昭和62)年6月30日