しょっこうとびしょう
職工と微笑

冒頭文

序言 私は当時、単なる失職者に過ぎなかった。とは云え、私自身とは全体何んな特質を持った個体であったのか? 物の順序として、先ず其れから語り出されねばならない。 別段大きな特質を持たぬという点が私の特質であった故に、私は私自身に就いて、其れ程長い説明を此処で試みようとは思わない。正直と簡単とを尊重して、私は次の事丈を読者に告げ得れば、もうそれで満足である。 私は一時、小学校の教員であっ

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 全集・現代文学の発見 第一巻 最初の衝撃
  • 学芸書林
  • 1968(昭和43)年9月10日