ばれいしょかいきゅうのうた |
| 馬鈴薯階級の詩 |
冒頭文
馬鈴薯階級の詩 (一)カマドガヤシの白い穂が雪の様に飛ぶ十一月の野良で仁平はおっかあや娘と仕事着の尻、枯っ風にひったくられ乍ら馬鈴薯選別して俵につめていた。もうこうなっては、安くとも高くとも売ってしまわねばシバレテしまう。雲間を飛ぶ淡い月の光をあてに空腹にゆるんだモンペのひも〆なおしてさて、今夜もよなべ、疲れて這う様にして小屋に帰り、黒い麦飯とナッパ汁かっ込んで仁平はいろりのはたで生活の重圧に曲っ
文字遣い
新字新仮名
初出
「北緯五十度詩集」北緯五十度社、1931(昭和6)年11月
底本
- 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
- 新日本出版社
- 1987(昭和62)年6月30日