冒頭文

俺達の手を見てくれ給え ごつごつで無細工で荒れて頽(すた)れて生活の如(よう)に殺風景だが 矍鑠(かくしゃく)とした姿を見てくれ給え 頑健なシャベルだ 伝統と因習の殻を踏み摧(くだ)き 時代の扉を打ち開く巨大な手だ りゅうりゅうと筋骨はもくれ上り 俺達の如く底力を秘めている どきっどきっ脈打つ血管には 火よりも赤い革命の血が流れ すべっすべっ皮膚は砲身の如く燿(かがや)いている

文字遣い

新字新仮名

初出

「文芸戦線」1929(昭和4)年8月号

底本

  • 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
  • 新日本出版社
  • 1987(昭和62)年6月30日