さんじょうのうた
山上の歌

冒頭文

同志等よ 素晴らしい眺めではないか 君達の胸はぶるぶると打ちふるえないか 脚下の街に林立する煙突と空を蔽う煤煙と るるるるっと打ちふるえている工場の建築物 おお そして其処で搾りぬかれた仲間等が吹き荒ぶ産業合理化の嵐の前に怯え 恐れ 資本への無意識的な憤懣の血をたぎらせているのだ 街は鬱積した憤懣で瓦斯(ガス)タンクのようになっている 街は燐寸(マッチ)の一本で爆発へ導く事が出来るのだ

文字遣い

新字新仮名

初出

「ナップ」1931(昭和6)年10月号

底本

  • 日本プロレタリア文学集・39 プロレタリア詩集(二)
  • 新日本出版社
  • 1987(昭和62)年6月30日