ぼち
墓地

冒頭文

郷里につくと、その日の中にか翌日の朝かには、きつと、家の墓地に鎌と笹掃木を手にして出かける。 それに義務を感じるといふのでもない。ただその墓地が村を南から北へ大膽に見下せる高さにあることがたまたま故郷に歸つた私に喜びを投げてくれるからだ。それがいつの間にか習慣といつたものになつてしまつたのであらう。 その度に墓地はむしやくしやとよもぎが生えてゐたり、山からころげ込んで來た岩のか

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 日光浴室 櫻間中庸遺稿集
  • ボン書店
  • 1936(昭和11)年7月28日