まんぷくついそう
万福追想

冒頭文

渓流は胡桃の実や栗の実などを、出水の流れにつれて持つて来た。水の引きが早いので、それを岩の間や流木の根に残して行く。 工事場の子供たちは、薪木にする為に、晒されて骨のやうになつた流木や、自分たちのお八つにする為に、胡桃や栗の実を拾ひ集めるのだつた。 胡桃の実も栗も、黒くなつてゐて、石の間や流木の間に挾まつてゐると、なか〳〵見つけるのに骨が折れたが、子供たちは大人よりも上手に見つけて、懐に入

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 筑摩現代文学大系 36 葉山嘉樹集
  • 筑摩書房
  • 1979(昭和54)年2月25日