すいごういぶん
水郷異聞

冒頭文

Ⅰ 山根省三は洋服を宿の浴衣(ゆかた)に着更(きが)えて投げだすように疲れた体を横に寝かし、隻手(かたて)で肱枕(ひじまくら)をしながら煙草を飲みだした。その朝東京の自宅を出てから十二時過ぎに到着してみると、講演の主催者や土地の有志が停車場に待っていてこの旅館に案内するので、ひと休みしたうえで、二時から開催した公会堂の半数以上は若い男女からなった聴講者に向って、三時間近く、近代思想に関す

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本怪談大全 第二巻 幽霊の館
  • 国書刊行会
  • 1995(平成7)年8月2日