とうおういぶん
東奥異聞

冒頭文

街頭に佇てばあまりに騒がしい。 あすの日もないように、なにをあせり なにを騒ぐのでしょう。おいでなさい。 その騒々しさからそっとのがれて 心おきなく語ろうではありませんか。 語る人の目はほがらかです 聞く人の心はなごやかです。 胸と心はおのずからとけて 春も、夏も、秋も、冬も、 静かに流れてゆくでしょう。 ふしぎな縁女の話 一 生まれながらにして、人

文字遣い

新字新仮名

初出

「東奥異聞」閑話叢書、坂本書店、1926(大正15)年3月

底本

  • 世界教養全集 21
  • 平凡社
  • 1961(昭和36)年12月23日