にほんのでんせつ
日本の伝説

冒頭文

再び世に送る言葉 日本は伝説の驚くほど多い国であります。以前はそれをよく覚えていて、話して聴かせようとする人がどの土地にも、五人も十人も有りました。ただ近頃は他に色々の新に考えなければならぬことが始まって、よろこんで斯(こ)ういう話を聴く者が少なくなった為に、次第に思い出す折が無く、忘れたりまちがえたりして行くのであります。私はそれを惜むの余り、先ず読書のすきな若い人たちの為に、この本を

文字遣い

新字新仮名

初出

「日本神話伝説集」日本児童文庫、アルス、1929(昭和4)年5月

底本

  • 日本の伝説
  • 新潮文庫、新潮社
  • 1977(昭和52)年1月15日