れきしのがくにおける「ひと」のかいふく
歴史の学に於ける「人」の回復

冒頭文

一 歴史とは何か 世界の文化民族の多くは、その文化が或る程度に発達して文字が用いられて来ると、今日常識的に歴史的記録といわれるようなものを何らかの形において作り、そうしてそれを後世に伝えた。そういうものの由来、特にその前の段階としてのいい伝えのこととか、民族によるその特殊性とか、またはそれらがどれだけ事実を伝えているかとか、いうようなことは、別の問題として、今はただそれらが主として人のしたこと人

文字遣い

新字新仮名

初出

「心 五ノ三、四、五」1952(昭和27)年3月、4月、5月

底本

  • 津田左右吉歴史論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2006(平成18)年8月17日