にほんにおけるしながくのしめい
日本に於ける支那学の使命

冒頭文

こんどの支那事変が起ってからたれしも深く感ずることは、支那についての日本人の知識があまりにも足りなさすぎるということであろう。日本人が支那についての研究をあまりにも怠っていたということであろう。支那文字をつかうことがあまりにも好きであり、支那を含む意味で東洋ということを何につけてもいいたがる日本人が、その支那についての知識をあまりにも有(も)たなさすぎることが、こんどの事変によってよく知られたので

文字遣い

新字新仮名

初出

「中央公論 六一八」1939(昭和14)年3月

底本

  • 津田左右吉歴史論集
  • 岩波書店
  • 2006(平成18)年8月17日