にほんせいしんについて |
| 日本精神について |
冒頭文
「日本精神」という語が何時(いつ)から世に現われたのか、確かには知らぬが、それがひどく流行したのは最近のことのようであり、いわゆる「非常時」の声に伴って急激に弘まったものらしく思われる。断えず高い調子で叫ばれ、何となく物々しいところがあるのみならず、いいようにより聞きようによっては一種の重苦しい抑圧的のひびきさえも感ぜられるのは、この故であろう。平安朝の昔にいわれた「やまとごころ」または「やまとだ
文字遣い
新字新仮名
初出
「思想(特輯 日本精神) 一四四」1934(昭和9)年5月
底本
- 津田左右吉歴史論集
- 岩波書店
- 2006(平成18)年8月17日