にほんじょうだいしのけんきゅうにかんするに、さんのけいこうについて
日本上代史の研究に関する二、三の傾向について

冒頭文

近ごろ、いろいろな意味で世間の注意が国史の上に向けられ、上代史についても種々の方面において種々の考察が行われている。種々の立場からの種々の見解が提出せられることは、全体として学問の進歩を助けるものであるのみならず、ともすれば凝滞の弊に陥り易い学界を刺戟し、あるいはそれに新問題を与え、新しい観点からの研究を誘発する意味においても、喜ぶべきである。そうしてまた実際、それらの考察には傾聴すべきものが少な

文字遣い

新字新仮名

初出

「思想 一一〇」1931(昭和6)年7月

底本

  • 津田左右吉歴史論集
  • 岩波書店
  • 2006(平成18)年8月17日