ちんげんとうご
陳言套語

冒頭文

僕のような融通のきかない学究がこういう雑誌に書くということは、甚だ不似合な仕わざであろうと思う。老(おい)の繰言(くりごと)の如き、生彩のない、調子の弱い、従って読者に何の印象をも与えない、贅言をくどくどと列べ立てるのが癖だからである。しかし、是非にということであるから、悪文の見本のつもりで書くことにする。ことわるまでもないことであるが、奇抜な考(かんがえ)をいうのでも新しい説を述べるのでもない。

文字遣い

新字新仮名

初出

「人間 二ノ四」1920(大正9)年4月

底本

  • 津田左右吉歴史論集
  • 岩波書店
  • 2006(平成18)年8月17日