げいじゅつとしゃかい
芸術と社会

冒頭文

芸術のための芸術と一口にいってしまえば、社会との関係などは初から論にならないかも知れぬ。けれども芸術を人生の表現だとすれば、そうして、人が到底社会的動物であるとすれば、少くとも芸術の内部におのずから社会の反映が現われることは争われまい。芸術の時代的、または国民的特色というのも畢竟(ひっきょう)ここから生ずるのである。まして、芸術の行われる行われない、発達する発達しないというような点となると一般社会

文字遣い

新字新仮名

初出

「みづゑ 一〇四」1913(大正2)年10月

底本

  • 津田左右吉歴史論集
  • 岩波文庫、岩波書店
  • 2006(平成18)年8月17日