がっきゅうせいかつごじゅうねん
学究生活五十年

冒頭文

学問上の閲歴のようなものを書けという『思想』の編輯部からの話があった。これまでもあちこちから同じことをしばしば勧められたが、いつも書く気になれなかった。人に語るほどの閲歴もないし、久しい前のことは記憶もはっきりせず、その上に、じぶんのことを書くのは書きにくくもあるので、筆をとりかねたのである。それに、ぼくがいくらか学問上のしごとをしたとするにしても、その大部分は一般の学界とは殆(ほとん)どかかりあ

文字遣い

新字新仮名

初出

「思想 三一九」1951(昭和26)年1月

底本

  • 津田左右吉歴史論集
  • 岩波書店
  • 2006(平成18)年8月17日