どうわのしてきかち
童話の詩的価値

冒頭文

籠の中で産まれた小鳥は、曾て広い世界を知らず、森の中や、林の中に、自分等の友達の住んでいることを知りませんから、外を恋しがらないかというに、そうでありません。やはり、少しの隙間があったら、窮屈な籠の中から逃け出して何処へか飛んで行こうと考えています。 この草木の少ない都会に産まれて、其処で大きくなった子供のことを考えると、私は何となく息詰まるような酷たらしさを感じます。私の死んだ男の子は

文字遣い

新字新仮名

初出

「金の輪」南北社、1919(大正8)年12月

底本

  • 定本小川未明童話全集 1
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年11月10日