『ちいさなくさとたいよう』じょ
『小さな草と太陽』序

冒頭文

詩や、空想や、幻想を、冷笑する人々は、自分等の精神が、物質的文明に中毒したことに気付かない人達です。人間は、一度は光輝(こうき)な世界を有していたことがあったのを憫(あわ)れむべくも自(みずか)ら知らない不明な輩(やから)です。 芸術は、ほんとうに現実に立脚するものです。童話は、芸術中の芸術であります。虚無の自然と生死する人生とを関連する不思議な鍵(かぎ)です。芸術の中(うち)でも、童話

文字遣い

新字新仮名

初出

「小さな草と太陽」赤い鳥社、1922(大正11)年9月

底本

  • 定本小川未明童話全集 2
  • 講談社
  • 1976(昭和51)年12月10日