ちょうぼうする
眺望する

冒頭文

すべては黒く凍つてゐる さびしくかたまる岩の上に みじめに歪んだ松の幹に 景色は凍え、飢ゑ、まづしく光つて叫ぶばかり。 この侘しく灰色なる空の下に 私たちの心はまづしく語り 孤獨になやみて重たくよりそふ 少女よ あの遠い空の雷鳴をあなたは聽くか かしこの空にひるがへる 浪浪の高いひびきをあなたは聽くか。 過去よ ながいながい孤獨の影よ その影を岩にひきずる 冬の日の薄暗い

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日