よきそぼうえに
よき祖母上に

冒頭文

かの家の庭にさく柘榴の花、 あかるい日光の中にふるへる空氣のさびしみ、 年老いたる祖母上よ。 そこのじようろにて植木の苗に水をやり給へ、 そこにあるどの草木にも親愛の言葉をかけておやりなさい、 私は前栽のかげにたたずむ、 ちひさなぼけた犬小舍をみる、 かたむきかかつた木製の長椅子をみる、 ああ これら日光の中にちらばふ、もろもろの植物、諸道具、壁土、窓、物置小舍の類、 あかるくし

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日