さんにんめのかんじゃ
三人目の患者

冒頭文

三人目の患者は、いかにもつかれきつた風をして、べろりと舌をたらした、お醫者が小鼻をとんがらして、『氣分はどうです』『よろしい』『食物は』『おいしい』『それから……』『それからすべてよろしい』そして患者は椅子からとびあがつた、みろ、歪んだ脊髓のへんから、ひものやうにぶらさがつた、なめくじの神經だの、くさつたくらげの手くびだの……。そいつは眞赤(まつか)の殺人者(ひとごろし)だ。

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日