じゅんれいきこう
巡礼紀行

冒頭文

きびしく凍りて、指ちぎれむとすれども、杖は絶頂(いただき)にするどく光る、七重の氷雪、山路ふかみ、わがともがらは一列に、いためる心山峽(はざま)たどる。しだいに四方(よも)を眺むれば、遠き地平を超え、黒き眞冬を超えて叫びしんりつす、ああ聖地靈感の狼ら、かなしみ切齒(はがみ)なし、にくしんを研ぎてもとむるものを、息絶えんとしてかつはしる。疾走(はし)れるものを見るなかれ、いまともがらは一列に、手に手

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日