いわな ――かなしきわがエレナにささぐ――
岩魚 ――哀しきわがエレナにささぐ――

冒頭文

瀬川ながれを早み、 しんしんと魚らくだる、 ああ岩魚(いはな)ぞはしる、 谷あひふかに、秋の風光り、 紫苑はなしぼみ、 木末(こずゑ)にうれひをかく、 えれなよ、 信仰は空に影さす、 かならずみよ、おんみが靜けき額にあり、 よしやここは遠くとも、 わが巡禮は鈴ならしつつ君にいたらむ、 いまうれひは瀧をとどめず、 かなしみ山路をくだり、 せちにせちにおんみをしたひ、 ひさ

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日