ふるさと
ふるさと

冒頭文

赤城山の雪流れ出で かなづる如くこの古き町に走り出づ ひとびとはその四つ辻に集まり 哀しげに犬のつるむを眺め居たり ひるさがり 床屋の庭に石竹の花咲きて 我はいつもの如く本町裏(ほんまちうら)の河岸(かし)を行く うなだれて歩むわが背後(うしろ)に かすかなる市人(いちびと)のささやききこえ 人なき電車はがたこんと狹き街を走り行けり 我が故郷(ふるさと)の前橋

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日