しゅくすい
宿酔

冒頭文

堪へがたき惡寒(をさむ)おぼえて ふとめざむれば室内(へやうち)の 壁わたる鈍き光や 障子を照らす光線の やや色づきて言ひ知らず ものうきけしき 物の香のただよふ 宿醉の胸苦し 腦は鉛の重たさに えたへず喉は ひしひしとかわき迫り 口内(くぬち)のねばり酒の香 くるめくにがき嘔(ゑ)づく思 そぞろにもけだものの かつゑし心 獰惡のふるまひを 思ひでて怖れわななく

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日