すすはき
煤掃

冒頭文

井桁古びた天井に鼠の夢を驚かして今朝年越しの煤拂ひ、主人七兵衞いそいそと店の小者を引具して事に堪ふべく見えにけり。さて若衆のいでたちや奴冠りに筒袖の半纏すがた意氣なるに帶ぶや棕梠の木竹箒、事あり顏に見交して物物しくも構へたり。お花、梅吉、喜三郎ことし十五の小性とて娘お蝶がませぶりをさげすみしたる樣もなく家代代の重寶をそつと小縁に運ぶ哉。要所、要所の手くばりもあらましここにすみぬれば手代が下知の一聲

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日