きみがいえ
君が家

冒頭文

ああ戀人の家なれば 幾度そこを行ききずり 空しくかへるたそがれの 雲つれなきを恨みんや 水は流れて南する ゆかしき庭にそそげども たが放ちたる花中の 艶なる戀もしらでやは 垣間み見ゆるほほづきの 赤きを人の脣に 情なくふくむ日もあらば 悲しき子等はいかにせん 例へば森に烏(からす)なき 朝ざむ告ぐる冬の日も さびしき興に言(こと)よせて 行く子ありとは知るやしらずや

文字遣い

旧字旧仮名

初出

底本

  • 萩原朔太郎全集 第三卷
  • 筑摩書房
  • 1977(昭和52)年5月30日