とかげ
とかげ

冒頭文

わたしの今住んでいるところは、川原につづいた貸家で庭には樹も草もない。眩しい日かげに打たれた砂利ばかりである。だから滅多に庭へは出ない。ただよくとかげが這うている。飴色の肌をしているのと、虹のような色をしているのとが、まぶしい日光の中を這い出しながら、低い蚊や蠅の飛ぶのを見ている。——暑い日には少しばかりの雑草のかげから、三角形の口を少し上向きにして、凝然として何かを狙っている。が、別に蚊も蠅も飛

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆18 夏
  • 作品社
  • 1984(昭和59)年4月25日