じんみんしじんへのぎし
人民詩人への戯詩

冒頭文

1 中野重治 「ここは穴だ 黒くて臭い」 これは中野重治の生涯のスローガンだった 彼は帝国ホテルのまん中で立停り 鼻をいじりながらこう呟いた それから機関車の後姿を見送って うや〳〵しく敬礼しながら だがこの偉大な「大男」の煤臭いにおいにへきえきして またこう呟いた 列車が雨のふる品川駅につくと 彼は前衛の乗客を見送りながら 大きく息をついて 「さようなら」と

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 槇村浩詩集
  • 平和資料館・草の家、飛鳥出版室
  • 2003(平成15)年3月15日