めいえんのらくすい
名園の落水

冒頭文

曇つた十月の或る日。 いつか見て置きたいと思つてゐた前田の家老であつた本多さんの庭を見に行つた。誰かに紹介をして貰ふつもりだつたが、それよりも直接にお庭拝見といふふうに名刺を通じた。五万石を禄してゐた本多家はいまは男爵である。幸ひ取次ぎが出て来て、大変荒れて居りますが御案内いたしませうと言つて先きに立つてくれた。 門番の壁のところに玄徳槍が二本と樫の六尺棒が、埃まみれにむかしの

文字遣い

新字旧仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆33 水
  • 作品社
  • 1985(昭和60)年7月25日