われはうたえども やぶれかぶれ
われはうたえども やぶれかぶれ

冒頭文

詩を書くのにも一々平常からメモをとっている。メモの紙切れをくりながらその何行かをあわせようとすると、それがばらばらになって粘(ねば)りがなくなりどうしてもくっ附かない、てんで書く気が動かないで嘔気(はきけ)めいた厭気までがして来る。こんな筈がないと紙切れを読みなおしている間に、頭に少しもなみが打って来ないで只のふろしきを展げたように、ぼやぼやと、よりどころがない、やはりだめだ、机の上を片づけながら

文字遣い

新字新仮名

初出

「新潮」1962(昭和37)年2月

底本

  • 蜜のあわれ・われはうたえども やぶれかぶれ
  • 講談社文芸文庫、講談社
  • 1993(平成5)年5月10日