せんこうはなび
線香花火

冒頭文

もう十年以上も前のことであるが、まだ私が大学の学生として寺田先生の指導の下に物理の卒業実験をしていた頃の話である。その頃先生はよく新しく卒業して地方の高等学校などへ奉職して行く人に、金や設備が無くても出来る実験というものがあるという話をして、そういう「仕事」を是非試みてみるようにと勧められていた。それ等の実例として挙げられた色々の題目の中には何時も決まって線香花火の問題が一つ含まれていたのであった

文字遣い

新字新仮名

初出

底本

  • 日本の名随筆73 火
  • 作品社
  • 1988(昭和63)年11月25日