まどのしたをとおったおとこ
窓の下を通った男

冒頭文

一 毎日(まいにち)のように、村(むら)の方(ほう)から、町(まち)へ出(で)ていく乞食(こじき)がありました。女房(にょうぼう)もなければ、また子供(こども)もない、まったくひとりぽっちの、人間(にんげん)のように思(おも)われたのであります。 その男(おとこ)は、もういいかげんに年(とし)をとっていましたから、働(はたら)こうとしても働(はたら)けず、どうにもすることができなかった、果(

文字遣い

新字新仮名

初出

「赤い鳥」1926(大正15)年7月

底本

  • 定本小川未明童話全集 5
  • 講談社
  • 1977(昭和52)年3月10日